捨てる前に
分ける
着物は1枚ずつ価値がまったく違います。まとめて処分すると、値のつくものが混ざったまま消えます。分けるだけで結果が変わります。
親の家を片付けていて、桐箪笥いっぱいの着物が出てくる。ここで「全部処分」と決めてしまうのが、いちばん多い損の出方です。
3つに分ける
最初にやることは、査定に出す準備ではなく分類です。時間はかかりません。
この3つに分けるだけ
①正絹(しょうけん)の着物・帯。手で触ると分かります。ここが査定の本命。
②化繊・ウール・木綿。普段着として使われていたもの。値はつきにくいが、状態次第。
③着物以外の和装小物。帯締め、帯揚げ、簪、草履、和装バッグ、反物。まとめて出すと扱ってもらえることがあります。
正絹かどうかの見分け方:裏地に「絹」の表示がある、手触りがなめらかで冷たい、しわの戻りが早い。分からなければ分けずに出して、査定側に判断してもらえば足ります。
値がつきやすいもの
次の条件に近いほど、価値が残っています。
・産地や作家が分かるもの(大島紬、結城紬、加賀友禅、久米島紬など)
・証紙が付いているもの(後述)
・作家の落款があるもの
・仕立てていない反物(サイズの制約がないため)
・丈が長いもの(現代の体格に合わせやすい)
・帯(袋帯・名古屋帯。着物より状態が保たれていることが多い)
特に見落とされやすいのが反物と帯です。着物にばかり目が行きますが、この2つは箪笥の奥に眠っていることが多く、状態も良好なことが多い。
値がつきにくいもの
逆に、次のものは値がつきにくくなります。ただし「ゼロ」とは限らず、まとめての引き取り対象になることはあります。
・シミ・カビ・虫食いがあるもの。特に茶色いシミ(黄変)は手当てが難しい
・強い臭いがついているもの(樟脳、カビ、たばこ)
・化繊・ウール・木綿の普段着
・洗い張りや仕立て直しの跡があるもの(状態による)
・浴衣(数が多く、流通量が多い)
ただし、自分で判断してシミのあるものを捨てるのは早い。産地物であれば、シミがあっても価値が残ることがあります。捨てる判断は査定のあとに回してください。
分けた状態のまま無料査定を申し込む
査定は無料です。査定額は品物の状態により異なります。
- 査定は無料です
- 査定は無料。金額を聞いてから、売らずに持ち帰れます
- 査定額は品物の状態により異なります
証紙・落款という話
着物の価値を大きく左右するのが証紙です。産地の組合などが発行する、産地・素材・製法を証明する小さな紙。
証紙があるかないかで、同じ着物でも評価が変わります。証明ができないものは、査定側が慎重にならざるを得ないためです。
どこにあるか:
・反物の端に付いたままのことがある
・たとう紙(着物を包む紙)に貼られていることが多い
・購入時の箱や袋に入っている
・着物とは別の引き出しにまとめてあることがある
片付けの過程で「ただの紙」に見えて捨ててしまうのが、最大の損失です。箪笥の中の紙類は、着物と一緒に取っておいてください。
落款は作家の印で、着物のおくみや裏地の端に入っていることがあります。探すのは難しいので、査定側に見てもらうほうが確実です。
査定前の準備
やるべきこと、やってはいけないことがあります。
やるべきこと
・たとう紙ごと出す(証紙が付いている可能性)
・証紙・落款・購入時の資料をまとめる
・帯・小物も一緒に出す(まとめると扱いやすい)
・風通しの良い場所で軽く広げる
やってはいけないこと
・自分で洗う・シミ抜きをする。着物の洗いは専門技術が要り、素人が手を入れると価値が下がります
・アイロンをかける
・シミがあるものを先に捨てる
・証紙を捨てる
着物を、値のつきやすさで3つに分ける
| 区分 | 代表的なもの | 評価の目安 | 確認すること |
|---|---|---|---|
| 値がつきやすい | 作家物、産地の証紙がある反物・着物、未使用に近いもの | 高い | 証紙・落款・たとう紙の記載 |
| 条件次第 | 状態のよい訪問着・付下げ・小紋 | 中 | シミ・変色・寸法 |
| つきにくい | ウール、化繊、寸法の合わないもの、汚れの強いもの | 低い | それでも一括で処分しない |
| 別枠 | 帯・帯締め・帯揚げ・和装小物 | 品による | 着物と分けて出す |
証紙と落款が、値のつく着物とつかない着物を分ける最大の要素です。たとう紙に産地や作家名が書かれていることもあるので、捨てずに一緒に出してください。
査定に出すまでの手順
- ① 着物・帯・小物に分ける評価の軸が違います。まとめると帯や小物が数に入れられがちです。
- ② たとう紙の記載を確認する産地、作家名、購入店の名前。ここに情報が残っていることがよくあります。
- ③ 証紙を探す反物の端や、たとう紙の中に入っていることがあります。証紙の有無で評価が変わります。
- ④ 状態を確認するシミ、変色、カビ、虫食い。あっても処分せず、そのまま出してください。
- ⑤ 複数社に相談する着物は業者ごとの得意分野の差が出やすい品目です。
査定前の確認事項
- 古物商許可の有無と許可番号
- 査定料・出張料・キャンセル料・返送料の有無
- その場で決めなくてよいか
- 品目ごとの内訳が出るか(一括提示だけでないか)
- 身分証明書の準備(古物営業法により必要)
- 訪問購入の場合、クーリング・オフの説明があるか
状況別の判断
量と品目によって、出し方が変わります。
実家の片づけで大量に出てきた
量が多い場合、出張査定が現実的です。ただし着物・帯・小物の3つに分けておくだけで、話が具体的になります。
たとう紙は捨てずに残してください。記載が判断材料になります。
作家物かどうか分からない
落款(作者の印)が入っていることがあります。裏地や褄先を確認してください。
判断が難しい場合は、そのまま査定に出してください。素人判断で「価値がない」と決めるのが最も損です。
シミや変色がある
あっても出してください。状態が悪くても値がつく品はありますし、逆に自分で洗うと決定的に評価を下げます。
クリーニングに出してから売る、という判断も、費用に見合わないことが多い領域です。
訪問購入を勧められた
訪問購入には特定商取引法上のクーリング・オフの規定があります。書面の交付を受けているかを確認してください。
その場で決めるよう急かされる場合は、いったん断って構いません。国民生活センターに相談窓口があります。
よくある失敗
たとう紙を捨てた
産地や作家名の記載が残っていることがあります。着物と一緒に出してください。
汚れが気になって自分で洗った
着物は素材と染めが繊細です。家庭での手入れは、多くの場合評価を下げます。
帯や小物を「おまけ」として一緒に渡した
帯には帯で評価があります。分けて申告してください。
その場で即決した
訪問購入では特にクーリング・オフの規定があります。急がされたら、いったん止めて構いません。
よくある疑問
証紙がないと売れませんか。
売れないわけではありませんが、産地や品質の裏づけがないぶん、慎重な評価になりやすくなります。
たとう紙や反物の端に残っていることがあるので、探してみてください。
シミがある着物でも査定に出せますか。
出せます。状態が悪くても値がつく品はあります。逆に、自分で洗ったり漂白したりすると、取り返しがつきません。
そのままの状態で出してください。
ウールや化繊の着物はどうですか。
一般に評価は低めですが、まとめて処分する前に一度見てもらってください。判断は現物によります。
訪問購入で気をつけることはありますか。
特定商取引法により、訪問購入には書面の交付義務とクーリング・オフの規定があります。書面を受け取っているか確認してください。
買い取ったものを持ち帰られた後でも、期間内なら申し出ができる場合があります。国民生活センターに相談窓口があります。
帯は着物と一緒に出してよいですか。
一緒に持ち込むのは構いませんが、分けて申告してください。帯には帯の評価があります。
一括提示だと、何がいくらだったか分かりません。内訳が出るかを確認してください。
身分証明書は必要ですか。
必要です。古物営業法により、買取時の本人確認が義務づけられています。
本人確認を求めない業者は、その時点で警戒したほうがよい相手です。
一度に何社も呼んでよいですか。
構いません。むしろ、同じ品でも提示額に差が出やすい品目です。
ただし訪問を何度も受けるのは負担なので、宅配査定と組み合わせる方法もあります。
この分野で混同されやすい言葉
| 言葉 | 意味 | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 証紙 | 産地や織元を示す紙 | あると評価が上がりやすい |
| 落款 | 作者の印 | 作家物かどうかの手がかり |
| たとう紙 | 着物を包む和紙 | 産地・作家名の記載が残ることがある |
| 訪問購入 | 業者が自宅を訪れて買い取る取引 | 特定商取引法によりクーリング・オフの規定がある |
判断の流れ(まとめ)
順序は「着物・帯・小物に分ける」→「たとう紙の記載を見る」→「証紙を探す」→「状態を確認する」→「複数社に相談」です。自分で洗わない、たとう紙を捨てない、帯を「おまけ」にしない。この3つで結果が変わります。訪問購入で急かされたら、いったん止めて構いません。制度上、そのための規定が用意されています。
種類ごとの見られ方
- 訪問着・付下げ柄付けと状態。作家物や産地の証紙があると評価が変わります。
- 留袖・振袖需要が限られるため、状態と寸法の影響が大きくなります。
- 紬・上布産地の証紙が重視される分野です。証紙を探してください。
- 帯(袋帯・名古屋帯)着物とは別に評価されます。まとめず、分けて申告してください。
- 和装小物帯締め・帯揚げ・草履・バッグ。まとめて数に入れられがちなので、点数を伝えてください。
査定前にそろえるもの
- 身分証明書(古物営業法により必要)
- たとう紙(記載がある場合は特に)
- 証紙(反物の端やたとう紙の中)
- 着物・帯・小物を分けた状態
- 点数のメモ(一括提示を避けるため)
着物・和装品の買取ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。