借りる前に
仕組みを知る
審査で何が見られ、在籍確認がどう行われ、記録がどこに残るのか。知ってから決めるほうが、選択肢は増えます。
審査に落ちる理由は、多くの場合「収入」ではなく「申込内容と記録の整合」にあります。ここを先に整理します。
審査で見られるもの
3つの軸
①返済能力。収入の額よりも安定性が見られます。勤続年数、雇用形態、収入の継続性。
②他社の借入状況。件数と残高。件数が多いほど不利に働きます。
③過去の記録。返済の遅れ、代位弁済、債務整理などの履歴。
加えて、見落とされやすいのが申込内容の正確さです。勤務先、年収、居住年数、他社借入。記録と食い違うと、金額の大小に関わらず不利に働きます。
「少なめに申告しておこう」は逆効果です。他社の借入は信用情報で照会されます。隠しても分かるうえ、申告の不正確さが評価に加わります。
借りられるのは年収の3分の1まで
貸金業者からの借入は、原則として年収の3分の1までとされています(貸金業法)。これが総量規制です。
・対象は貸金業者からの借入(消費者金融、クレジットカードのキャッシング枠など)
・銀行のカードローンは貸金業法の対象外ですが、各行が自主的な審査基準を設けています
・住宅ローン、自動車ローンなど「除外」「例外」となる貸付があります
だから、年収の3分の1に近づいている状態で新規に申し込んでも、審査は通りにくいのが構造です。ここは交渉や書き方で変わる部分ではありません。
→ 借りる前の計算
信用情報に残るもの
信用情報機関には、契約だけでなく「申し込んだ事実」も一定期間記録されます。
・申込情報:おおむね6か月程度で消えるとされます。短期間に何社も申し込むと、記録上「資金繰りに窮している」と読まれます
・契約・残高・返済状況:契約期間中と、完済後の一定期間
・延滞、代位弁済、債務整理:より長い期間残るとされます
実務上、最も避けたいのは短期間の連続申込です。1社落ちたから次、をその日のうちに繰り返すと、後の審査ほど通りにくくなります。
自分の記録は本人開示請求で確認できます。心当たりがある場合は、申し込む前に確認するほうが確実です。
在籍確認の実際
在籍確認は、申告された勤務先で本当に働いているかを確認する手続きです。返済能力の確認の一部として行われます。
・担当者名で電話が入るのが一般的とされ、社名を名乗らない運用を取る事業者もあります
・書類(給与明細、社会保険証など)で代替できる場合があります。電話を避けたい事情がある場合は、申込時に相談する
・本人が不在でも、在籍が確認できれば足りるとされる運用が一般的です
ここは事業者ごとに運用が異なるため、「電話なしにできるか」は各社の公式サイトか申込時の確認が唯一の正解です。断定的な情報を鵜呑みにしないでください。
申込条件と在籍確認の運用を公式で確認する
金利・限度額・確認方法は事業者ごとに異なります。申し込む前に公式の記載をご確認ください。
- 融資には審査があり、必ず借りられるものではありません
- 金利・限度額は各社公式サイトの公表値です
- 返済計画を立ててから申し込んでください
→ 在籍確認の進め方
申し込む前に決めること
①いくら必要か(上限を決める)。限度額いっぱいを借りる設計にしない。必要額だけを借りる。
②いつまでに返すか。返済期間を先に決めてから金額を決める。逆にすると返済が伸びます。
③他に手段はないか。公的な貸付・給付、勤務先の制度、支払いの分割交渉、不要品の売却。借入は選択肢の1つであって、最初の選択肢ではありません。
④返済が苦しくなったらどこに相談するか。先に決めておく。借りて返すために借りる状態になる前に止めるのが最も重要です。
→ 借りる前の計算/事業の資金繰りの場合/車の購入資金の場合
貸し手の種類を、根拠となる法律で分ける
| 種類 | 根拠法 | 登録の確認先 | 総量規制の対象 |
|---|---|---|---|
| 消費者金融・信販会社 | 貸金業法 | 金融庁「登録貸金業者情報検索」 | 対象 |
| 銀行・信用金庫 | 銀行法など | 各金融庁財務局の免許一覧 | 対象外(各行の自主的な審査基準による) |
| クレジットカードのキャッシング枠 | 貸金業法 | カード会社の登録番号 | 対象 |
| 登録のない業者 | — | 登録番号が確認できない | 法律の枠外。利用しない |
最初に確認すべきは金利や限度額ではなく、その業者が登録を受けているかです。登録番号は金融庁のサイトで検索できます。ここが確認できない相手とは取引しないでください。
申し込む前に踏む手順
- ① 貸し手の登録番号を確認する金融庁の登録貸金業者情報検索で、商号と登録番号が一致するかを見ます。数分で済みます。
- ② 自分の信用情報を開示請求するCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターで、本人が開示を請求できます。何が記録されているかを知らないまま申し込むのは不利です。
- ③ 年収に対する借入残高を出す貸金業者からの借入は、原則として年収の3分の1までとされています(総量規制)。既存の借入を合計してください。
- ④ 申込先を1〜2社に絞る短期間に複数社へ申し込むと、その申込記録自体が信用情報に残ります。数を打つほど不利になります。
- ⑤ 在籍確認の方法を事前に相談する方法が選べる場合があります。申込時に相談しておくと、想定外の連絡を避けられます。
状況別の判断
同じ「審査が不安」でも、状況によって取るべき手順が変わります。
勤務先への電話を避けたい
申込の段階で相談してください。書類(給与明細や社会保険証など)での確認に代えられる場合があります。
ただし、確認方法は貸し手が決めるものであり、必ず希望どおりになるとは限りません。事前に相談しておくと、少なくとも心の準備ができます。
過去に延滞した記録がある
まず信用情報の開示請求をして、何がいつまで記録されているかを確認してください。記録には保有期間があります。
推測で申し込むより、事実を確認してから動くほうが、無駄な申込記録を残さずに済みます。
すでに複数社から借りている
総量規制の対象となる借入は、年収の3分の1が原則の上限です。合計額を出してから検討してください。
上限に近い場合、新規の借入より、返済計画の見直しや、公的な相談窓口を先に検討する場面です。
急いでいる
急ぐほど、登録の確認を飛ばしがちです。ここだけは飛ばさないでください。
「審査なし」「ブラックでも可」といった表示は、登録業者では通常ありえない表現です。
よくある誤解
「審査に落ちたら、すぐ別のところに申し込めばよい」
申込の記録は信用情報に残り、一定期間参照されます。短期間に数を打つと、それ自体が不利に働きます。条件の違う先を1つ選んでから申し込んでください。
「在籍確認は必ず電話で行われる」
方法は貸し手によって異なり、書類で代替される場合もあります。事前に相談する余地があります。
「総量規制は全部の借入に適用される」
貸金業法に基づく規制で、銀行の貸付は対象外です。ただし対象外であっても各行の審査基準があり、無制限に借りられるわけではありません。
「登録のない業者でも条件がよければ問題ない」
登録のない貸付は法律の枠外です。金利や取立ての面で保護が及びません。登録番号が確認できない相手とは取引しないでください。
よくある疑問
審査では何を見られますか。
収入の安定性、既存の借入状況、信用情報に記録された過去の返済履歴などが一般的な項目です。基準は貸し手ごとに異なり、公開されていません。
自分の側で事前に確認できるのは信用情報の開示と借入残高の合計です。この2つは申し込む前に把握できます。
在籍確認とは何ですか。
申告した勤務先に実際に在籍しているかを確認する手続きです。方法は貸し手によって異なり、電話のほか、書類での確認が行われる場合もあります。
方法や配慮の可否は申込時に相談できることがあります。心配な点があれば、申し込む前に伝えておいてください。
信用情報はどこで確認できますか。
CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3機関で、本人が開示を請求できます。手数料がかかりますが、自分の記録を正確に把握できます。
心当たりがある場合、推測で申し込むより先に確認するほうが確実です。
総量規制とはどういう仕組みですか。
貸金業法に基づき、貸金業者からの借入総額を原則として年収の3分の1までに制限する仕組みです。銀行の貸付は対象外とされています。
例外もあるため、詳しくは金融庁や日本貸金業協会の公表資料をご確認ください。
業者が正規かどうかは、どう確かめますか。
金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で、商号・登録番号・所在地を照合できます。
登録番号が確認できない、記載と一致しない場合は取引を避けてください。国民生活センターにも相談窓口があります。
申し込みは何社まで大丈夫ですか。
件数の明確な基準は公開されていません。ただし、申込の事実は信用情報に記録され、一定期間参照されます。
短期間に多数申し込むと、審査で不利に働くことがあります。条件を比べてから1〜2社に絞るほうが結果につながりやすい進め方です。
返済が難しくなったらどうすればよいですか。
延滞する前に、貸し手へ相談してください。返済条件の見直しに応じる場合があります。
あわせて、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターや、法テラス、自治体の相談窓口といった公的な窓口があります。放置するのが最も不利な選択です。
この分野で混同されやすい言葉
| 言葉 | 意味 | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 信用情報 | 申込・契約・返済の履歴が記録された情報 | 開示請求で本人が確認できる |
| 総量規制 | 貸金業者からの借入を年収の3分の1までとする仕組み | 銀行の貸付は対象外 |
| 在籍確認 | 申告した勤務先に在籍しているかの確認 | 方法は貸し手により異なる |
| 登録番号 | 貸金業者に付与される登録の番号 | 金融庁のサイトで照合できる |
判断の流れ(まとめ)
順序は「登録の確認」→「信用情報の開示」→「借入残高の合計」→「1〜2社に絞る」→「在籍確認の相談」です。最初にやるのは金利の比較ではなく、相手が登録を受けているかの確認です。数分で終わり、ここを飛ばすリスクだけが突出して大きいためです。次に自分の記録を確認し、事実に基づいて申込先を絞ります。数を打つほど不利になる仕組みなので、絞ることが結果につながります。
借入の審査と在籍確認ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。