選任した日から15日以内に届け出る
安全運転管理者は「決めておく」ものではなく、選任して警察に届け出るものです。期限は15日。台数が基準を超えてから人選を始めると、まず間に合いません。
何台から必要か
警察庁は、自動車の使用の本拠(事業所等)ごとに次の台数で選任が必要としています。
選任が必要になる台数(警察庁)
| 自動車の種類 | 台数 |
|---|---|
| 乗車定員が11人以上の自動車 | 1台以上 |
| その他の自動車 | 5台以上 |
出典:警察庁「安全運転管理者制度」。数えるのは会社全体ではなく、事業所ごとです。
「事業所ごと」を取り違えると、必要なのに置いていない状態になります。本社に3台、支店に5台なら、支店で選任が必要です。
副安全運転管理者
台数がさらに増えると、副安全運転管理者が必要になります。警察庁の資料では次のとおりです。
→ 図は横にスクロールできます
- 5台以上安全運転管理者を1人
- 20台以上40台未満副安全運転管理者を1人
- 40台以上20台を増すごとに副を1人
- 事業所が増えたら事業所ごとに最初から数え直す
出典:警察庁「安全運転管理者制度」。副安全運転管理者を選任しなければならない場合、安全運転管理者の年齢要件が30歳以上になります。
誰が就けるか
警視庁は、安全運転管理者の資格について「年齢20歳(副安全運転管理者が選任しなければならない場合は30歳)以上の方」と案内しています。あわせて、欠格事由も定められています。
実務上の注意は「その事業所にいる人」でなければ機能しないことです。業務には点呼や酒気帯びの確認が含まれます。本社の総務部長を名前だけ置く、という運用は現実に回りません。
本サイトは警察庁・警視庁の公表内容を整理したものです。選任の要否や届出の様式は、自動車の使用の本拠を管轄する都道府県警察によって運用が異なることがあります。必ず管轄の警察署(交通課)にご確認ください。
届出の期限と提出先
届出の基本(警察庁)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 選任した日から15日以内 |
| 提出先 | 都道府県公安委員会(自動車の使用の本拠の位置を管轄する都道府県警察または警察署) |
| 対象 | 選任したとき、解任したとき |
様式と添付書類は都道府県によって運用が異なります。管轄の警察署(交通課)にご確認ください。
届出までの段取り
- ① 事業所ごとの台数を数える乗車定員11人以上のものは1台から対象です。
- ② 誰を選任するか決める資格要件と、実際に業務を回せるかの両方で選びます。
- ③ 管轄の警察署に様式を確認する都道府県によって様式が違います。電話で確認するのが早いです。
- ④ 15日以内に届け出る期限は選任した日から起算します。
- ⑤ 法定講習の案内を受ける選任後は定期的な講習の対象になります。
業務は9つある。アルコールチェックはそのうち2つ
「アルコールチェックさえやっていれば大丈夫」と思われがちですが、条文にはそう書かれていません。 安全運転管理者の業務は道路交通法施行規則9条の10に定められていて、1号から9号まであります。
安全運転管理者の業務(道路交通法施行規則9条の10・2026年9月20日確認)
| 号 | 業務 | よく忘れられるか |
|---|---|---|
| 1号 | 運転者の適性・技能・知識と、法令遵守の状況を把握する | 忘れられやすい |
| 2号 | 最高速度・危険防止その他安全運行に必要な運行計画を作成する | 忘れられやすい |
| 3号 | 長距離・夜間の運転になるときの、運転者の交替要員の配置 | 忘れられやすい |
| 4号 | 異常気象などのときに安全確保に必要な指示その他の措置をとる | 忘れられやすい |
| 5号 | 運転前後の点呼と、自動車の点検の確認 | — |
| 6号 | 酒気帯びの有無を、目視等で確認するほかアルコール検知器を用いて確認する | これだけ話題になる |
| 7号 | 6号の確認の内容を記録し、1年間保存し、検知器を常時有効に保持する | 同上 |
| 8号 | 運転日誌を備え、記録させる | 忘れられやすい |
| 9号 | 運転者に対する安全運転の指導を行う | 忘れられやすい |
出典:道路交通法施行規則9条の10(e-Gov法令検索)。9つとも同じ条文の同じ義務です。6号と7号だけが義務なのではありません。
世の中の記事が6号と7号ばかり扱うのは、令和5年12月に検知器の規定が施行されたからです。 1号から5号、8号、9号は、それより前から同じようにあります。
そして業務を守っていないと判断されると、公安委員会は使用者に対して解任を命ずることができます。道路交通法74条の3第6項は「安全運転管理者が第二項の規定を遵守していないため自動車の安全な運転が確保されていないと認めるときは、自動車の使用者に対し、当該安全運転管理者等の解任を命ずることができる」と定めています。 その対象は「6号と7号を守っていないこと」に限られていません。 運行計画も、交替要員も、運転日誌も、同じ条文の中にあります。
選任後にやること
警察庁が挙げる業務は9項目あります。このうち日々発生するのは、点呼・酒気帯びの確認・記録・運転日誌です。
毎日・毎回発生するもの
- 運転前と運転後の酒気帯びの有無の確認(アルコール検知器を用いる)
- 確認内容の記録(1年間保存)
- 点呼等による、過労・病気その他正常な運転ができないおそれの有無の確認と必要な指示
- 運転日誌の記録
残りの5項目(運転者の状況把握、運行計画の作成、交代要員の配置、異常気象時の措置、安全運転指導)は、その都度・定期的に行うものです。
社用車の調達方法を、月額で比べる
台数が増えると管理の負担も増えます。調達方法の違いは公式サイトでご確認ください。
- 料金・契約条件は公式サイトでご確認ください
- 審査の可否は個別の判断によります
届出が遅れた・忘れていたとき
15日を過ぎてしまった、あるいは何年も届け出ていなかった——という状態は実際にあります。放置がいちばん悪い選択です。
気づいたときにやること
- ① 現状を整理するいつから台数が基準を超えていたか、いま誰が実質的に管理しているか。
- ② 管轄の警察署(交通課)に電話する「届出が漏れていた」と正直に伝えて、必要な手続きを聞きます。隠して手続きを進めるほうが後で困ります。
- ③ 選任して届け出る様式と添付書類は管轄で確認します。
- ④ 同時に運用を立ち上げる選任だけしても、酒気帯びの確認と記録が始まっていなければ意味がありません。
道路交通法上の義務であり、違反には罰則が定められています。具体的な扱いは管轄の警察署にご確認ください。本サイトでは罰則の内容を断定しません。
変更届・法定講習
選任のあとに発生する手続き
| 場面 | 何をするか |
|---|---|
| 管理者が交代する | 解任と新たな選任の届出。選任した日から15日以内 |
| 管理者の住所・氏名が変わる | 変更の届出が必要になることがある。管轄で確認 |
| 事業所が移転する | 使用の本拠が変わるため、届出先も変わりうる |
| 台数が20台・40台を超えた | 副安全運転管理者の選任が必要になる |
| 毎年 | 安全運転管理者等法定講習の対象になる |
様式・提出先・講習の日程は都道府県警察によって異なります。管轄の警察署または都道府県警察のサイトでご確認ください。
法定講習は日程が限られます。案内が来たら早めに押さえてください。
緑ナンバーとの違い
「うちは運送業ではないから」という誤解がここです。
緑ナンバー(事業用自動車)には運行管理者制度があり、貨物自動車運送事業法や道路運送法にもとづく別の仕組みが動いています。白ナンバー(自家用自動車)には、道路交通法にもとづく安全運転管理者制度が適用されます。
制度は別ですが、白ナンバーだから何も要らない、ということではありません。台数の基準を満たせば、安全運転管理者の選任と酒気帯び確認の義務が生じます。
辞めたときの手続き
いちばん多い抜けがここです。選任した人が退職・異動しても、届出を出していないケースが珍しくありません。
警察庁の資料では、解任も届出の対象です。解任と新たな選任をセットで処理してください。担当者の引き継ぎ資料に、この手続きを1行入れておくと防げます。
よくある失敗
会社全体で台数を数える
数えるのは事業所(自動車の使用の本拠)ごとです。
マイクロバス1台を数え忘れる
乗車定員11人以上は1台から対象です。
15日を過ぎてから届け出る
期限は選任した日から起算します。人選を先に済ませてください。
名前だけの管理者を置く
業務には日々の点呼と確認が含まれます。その事業所にいる人でないと回りません。
退職しても解任の届出を出さない
解任も届出の対象です。
よくある疑問
選任は義務ですか、努力義務ですか。
兼任はできますか。
資格試験はありますか。
台数が一時的に5台になった場合は。
事業所が複数あります。
社用車の管理義務ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。