台数より、明細の本数が事務を重くする
社用車が増えて大変になるのは、車が増えるからではありません。領収書と立替精算が人数分・回数分だけ増えるからです。ここは仕組みで減らせます。
なぜ重くなるのか
台数が5台を超えたあたりから、次の3つが同時に起きます。
台数が増えると起きること
| 何が増えるか | 何が起きるか | どう減らすか |
|---|---|---|
| 立替精算 | 運転者が現金で払い、あとから精算する。件数が人数×回数で増える | 会社名義のカードで支払いを一本化する |
| 領収書の突合 | 誰がいつどの車で使ったかを、紙で照合する | 明細が事業所・車両単位で出る形にする |
| 管理義務の記録 | 酒気帯び確認・運転日誌が台数分増える | 出発前の手順に組み込む |
1つ目と2つ目は仕組みで減らせます。3つ目は義務なので減らせませんが、手順に組み込めば抜けません。
給油
給油を運転者の立替にしていると、精算の件数がそのまま事務量になります。会社名義の燃料カードにすると、支払いと明細が一本化されます。
燃料カードを検討するときに見るところ
- 給油できる系列・店舗(走行範囲に合っているか)
- 明細の出方(車両ごとか、カードごとか、事業所ごとか)
- カードの発行枚数と、その手数料
- 紛失・盗難時の手続き
- 割引の条件(変動するのか、固定なのか)
明細の出方がいちばん効きます。車両単位で出るなら、運転日誌との突合が楽になります。金額の割引より、ここを先に見てください。
法人向けの燃料カードの条件を見る
給油できる系列・明細の出方・手数料は各社で異なります。公式サイトでご確認ください。
- 発行条件・審査基準・手数料は各社公式サイトでご確認ください
- 利用できる場所や割引の条件はカードにより異なります
高速道路
高速代も同じ構造です。運転者が個人のETCカードで払うと、精算と証憑の管理が発生します。法人のETCカードにすると、利用明細が会社側に一本化されます。
法人ETCカードには複数の発行方式があり、審査の条件や発行までの期間が違います。設立直後だと通りにくい方式もあります。
法人ETCカードの申込条件を見る
発行方式によって審査条件と期間が異なります。公式サイトでご確認ください。
- 発行条件・審査基準・手数料は各社公式サイトでご確認ください
- 利用できる場所や割引の条件はカードにより異なります
車両の調達
買うか、リースにするかは、資金の話だけでなく管理の話でもあります。
中古で買うと、償却の年数が縮みます
新車を買うと、法定耐用年数のあいだ分けて経費にします。中古なら、その年数を短くできます。国税庁が「簡便法」として計算方法を示しています。
法定耐用年数の一部が過ぎた中古なら「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」。全部過ぎていれば「法定耐用年数×20%」。1年未満は切り捨てて、2年に満たなければ2年です。
中古車を買うと、耐用年数は何年になるか(簡便法・当サイト計算)
| 何年落ちか | 法定耐用年数が6年の場合 | 法定耐用年数が4年の場合(小型車) |
|---|---|---|
| 1年落ち | 5年 | 3年 |
| 2年落ち | 4年 | 2年 |
| 3年落ち | 3年 | 2年 |
| 4年落ち | 2年(定率法の償却率1.000=1年で全額) | 2年 |
| 5年落ち以上 | 2年 | 2年 |
計算式:(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%。全部経過していれば法定耐用年数×20%。1年未満は切り捨て、2年未満は2年とします(国税庁タックスアンサー No.5404)。耐用年数2年の定率法の償却率は1.000(減価償却資産の償却率等表)。法定耐用年数は車種で決まり、総排気量0.66リットル以下の小型車は4年です。それ以外の一般用の自動車はここでは6年として計算しています。自分の車種の年数は国税庁の耐用年数表で確認してください。2026年9月18日に確認しました。
4年落ちで耐用年数が2年になると、定率法の償却率は1.000。つまり1年で全額が経費になります。「4年落ちの中古車」がよく話題になるのは、この1行のためです。
ただし、ここに落とし穴があります。償却は月割です。期首に買えば12か月分、決算月に買えば1か月分しか経費になりません。
400万円の4年落ち中古車を、決算期のいつ買うか(耐用年数2年・当サイト計算)
| 買う時期 | その期に経費にできる額 | 残り |
|---|---|---|
| 期首(12か月使う) | 4,000,000円 | 0円 |
| 期の途中(7か月使う) | 2,333,333円 | 1,666,667円は翌期 |
| 決算月(1か月だけ使う) | 333,333円 | 3,666,667円は翌期 |
計算式:取得価額×その期に使った月数÷12。償却は月割です。経費にできる額がいくらでも、車両代金はその月に全額出ていきます。当サイトの計算です。
決算対策で決算月に400万円の車を買っても、その期に経費にできるのは333,333円です。残りは翌期に回ります。そして400万円は、その月に手元から出ていきます。
経費にできる額と、手元から消える額は別です。利益が出ていない期に車を買っても、経費が増えるだけで、お金は戻ってきません。買うかどうかは、事務と稼働の話で決めてください。税は結果です。
調達方法で変わること
購入
リース
レンタル・カーシェア
従業員のマイカー
台数が増えるほど、「車そのものの費用」より「手配と管理の人件費」が効いてきます。ここを含めて比べてください。
カーリースの月額と契約条件を見る
含まれる範囲(車検・整備・税金)は契約により異なります。税務上の扱いは顧問税理士にご確認ください。
- 料金・契約条件は公式サイトでご確認ください
- 審査の可否は個別の判断によります
マイカーを業務で使う場合
社用車を増やす代わりに、従業員の自家用車を業務で使う——という選択があります。ここは費用より先に、確認すべきことが3つあります。
通勤手当は、距離で非課税の枠が決まっています
マイカー通勤に手当を出すとき、いくらまでなら税がかからないかは、片道の距離で決まっています。国税庁が距離別に額を定めています。ここを超えた分は給与として課税されるので、渡す側も受け取る側も手取りが変わります。
マイカー通勤の手当、いくらまで非課税か(片道の距離別)
| 片道の通勤距離 | 1か月の非課税限度額 | 1年では |
|---|---|---|
| 2km未満 | 全額が課税 | — |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 | 50,400円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 | 87,600円 |
| 15km以上25km未満 | 13,500円 | 162,000円 |
| 25km以上35km未満 | 19,700円 | 236,400円 |
| 35km以上45km未満 | 25,900円 | 310,800円 |
| 45km以上55km未満 | 32,300円 | 387,600円 |
| 55km以上65km未満 | 38,700円 | 464,400円 |
| 95km以上 | 66,400円 | 796,800円 |
出典:国税庁タックスアンサー No.2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」。電車・バス通勤の場合は1か月15万円が限度です(No.2582)。年額は当サイトの計算です。限度額を超えて支給した分は給与として課税されます。2026年9月18日に確認しました。
片道25キロで月19,700円、年にすると236,400円までが非課税です。片道2キロ未満は、いくら払っても全額が課税対象になります。規程を作るときは、この区切りに合わせて距離の階段を切ってください。「一律10,000円」のような決め方だと、片道2キロの人には全額課税、片道30キロの人には枠を9,700円余らせることになります。
マイカー業務利用で確認すること
任意保険の内容
安全運転管理者制度上の扱い
費用の精算方法
使用者としての責任
「社用車を持たなければ管理義務も生じない」とは限りません。使用の実態で判断されるため、確認が必要です。
管理義務との関係
コストの管理と、安全運転管理者の義務は別の話です。ただし接点があります。
燃料カードやETCの明細が車両単位・事業所単位で出ていると、運転日誌との突合が容易になります。逆に、明細が個人単位でしか出ないと、どの車の記録なのかを人手で紐付けることになります。
仕組みを選ぶときに「あとで突合するか」を一度考えておくと、後の事務が減ります。義務そのものは安全運転管理者のページと記録のページをご覧ください。
よくある疑問
燃料カードは何枚作ればよいですか。
法人ETCカードは設立直後でも作れますか。
リースなら安全運転管理者は不要ですか。
私的利用をどう防げばよいですか。
経費の処理はどうなりますか。
社用車の管理義務ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。