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兼任は禁じられていない。ただし「確認」が義務になる

兼任できます。禁じる条文はありません。ただし確認の手続が要ります。

先に押さえる4つ

項目内容
置く建物延べ面積3,000㎡以上の特定建築物(学校は8,000㎡以上)
兼任禁じる条文はない。施行規則第5条第2項が「業務の遂行に支障がないことを確認しなければならない」としているだけ
置かないと30万円以下の罰金(建築物衛生法)
権限管理技術者は維持管理について意見を述べることができ、権原を有する者はその意見を尊重しなければならない

出典:建築物における衛生的環境の確保に関する法律および同施行規則。確認の方法・記録の残し方・立入検査の運用は自治体ごとに異なります。

★「支障がないことを確認」が誰の義務かを間違えないでください。確認するのは選任する側(特定建築物所有者等)です。管理技術者本人が「大丈夫です」と言えば済む話ではありません。

★確認した記録が残っていないと、立入検査で指摘されます。何棟を兼ねているか、移動時間、常駐の有無、連絡体制。この4つを書面に残しておくのが実務です。

本サイトは条文と公表資料の整理です。実施の体制・記録の残し方・立入検査の運用は自治体ごとに異なります。この建物で何がどこまで必要かは、所在地を管轄する保健所(環境衛生担当)に確認してください。業者の選定は、下に書いた登録の有無から見ていくのが早いです。

誰に頼むのか(登録を受けた業者かどうか)

建築物衛生法第12条の2は、次の8つの事業について「その営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けることができる」と定めています。登録の有効期間は6年です(同条第4項)。

第12条の2第1項が挙げる8事業(条文の文言のまま)

号条文の文言通称
一建築物における清掃を行う事業建築物清掃業
二建築物における空気環境の測定を行う事業建築物空気環境測定業
三建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業建築物空気調和用ダクト清掃業
四建築物における飲料水の水質検査を行う事業建築物飲料水水質検査業
五建築物の飲料水の貯水槽の清掃を行う事業建築物飲料水貯水槽清掃業
六建築物の排水管の清掃を行う事業建築物排水管清掃業
七建築物におけるねずみその他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物として厚生労働省令で定める動物の防除を行う事業建築物ねずみ昆虫等防除業
八建築物における清掃、空気環境の調整及び測定、給水及び排水の管理並びに飲料水の水質検査であつて、建築物における衛生的環境の総合的管理に必要な厚生労働省令で定める程度のものを行う事業建築物環境衛生総合管理業

出典:建築物における衛生的環境の確保に関する法律 第12条の2第1項(e-Gov法令検索で2026年9月17日に確認)。

ここが使いどころです。条文は「登録を受けることができる」です。登録は義務ではありません。登録が無くても営業はできます。だからこそ、登録を受けているかどうかが業者を見分ける材料になります。第12条の2第2項は、登録には「機械器具その他の設備」と「その事業に従事する者の資格」が厚生労働省令の基準に適合していることが要る、としています。設備と人を都道府県が見た、という意味です。

見積りを取る前に、この2つをそのまま聞いてください。

業者に先に聞く2つ

聞く言葉この答えなら要注意
「都道府県知事の登録を受けていますか。登録番号を教えてください」「登録は不要です」とだけ答え、番号を出さない
「登録の有効期限はいつまでですか」(有効期間は6年)期限を把握していない。更新していない

登録業者の一覧は、都道府県や政令市の環境衛生担当課が公表しています。保健所に「登録業者の一覧はありますか」と聞けば出てきます。

このページの内容
  1. 選任の義務
  2. 「特定建築物ごとに」
  3. 兼任するときの確認
  4. 意見を述べることができる
  5. 免状を持っている人とは
  6. よくある取りこぼし
  7. 確認に使った一次情報

選任の義務

建築物衛生法第6条第1項です。

「特定建築物所有者等は、当該特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行なわれるように監督をさせるため、厚生労働省令の定めるところにより、建築物環境衛生管理技術者免状を有する者のうちから建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならない。」

この一文に入っている3つのこと

区分条文が定めていること
選任するのは誰か特定建築物所有者等
何のためか維持管理が環境衛生上適正に行なわれるように監督をさせるため
誰から選ぶか建築物環境衛生管理技術者免状を有する者のうちから

出典:建築物衛生法第6条第1項。

役割は「監督」です。自分で掃除や測定をする人ではありません。維持管理が基準どおり行われているかを見る立場です。

対象になるかどうかは延べ面積3,000平方メートルが分かれ目です。→ 事務所が3,000㎡を超えたら保健所に届出

「特定建築物ごとに」

施行規則第5条第1項は1文です。

「特定建築物所有者等は、特定建築物ごとに建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならない。」

「ごとに」なので、建物が2つあれば2つとも選任が必要です。会社に1人いればよい、という制度ではありません。

ただし「同じ人が2つの建物の管理技術者になってはいけない」とは書かれていません。そこを定めているのが次の第2項です。

選任しなかったときの罰則

「兼任できるのか」より先に確かめておくことがあります。そもそも選任しなかった場合です。

建築物環境衛生管理技術者に関する罰則(2026年9月20日確認)

何をしなかったか根拠罰則
管理技術者を選任しなかった建築物衛生法16条2号(6条1項違反)三十万円以下の罰金
特定建築物の届出をしなかった同16条1号(5条1項〜3項違反)三十万円以下の罰金
帳簿書類を備えなかった・記載しなかった同16条3号(10条違反)三十万円以下の罰金
改善命令や処分に従わなかった同16条5号(12条の命令・処分違反)三十万円以下の罰金

出典:建築物における衛生的環境の確保に関する法律16条(e-Gov法令検索)。柱書は「三十万円以下の罰金に処する。」です。

帳簿書類にも罰則があるのが、見落とされやすいところです。 選任して届け出ても、測定や清掃の記録を残していなければ、別の号で引っかかります。 記録は「やったこと」ではなく「義務の履行を証明するもの」として残してください。

兼任するときの確認

施行規則第5条第2項です。

「特定建築物所有者等は、前項の規定による選任を行う場合において、選任しようとする者が同時に二以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者を兼ねることとなるときには、当該二以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者となつてもその業務の遂行に支障がないことを確認しなければならない。」

兼任するときの手順

  1. ① 兼任になるかどうかを見る「同時に二以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者を兼ねることとなるとき」が条件です。
  2. ② 維持管理権原者が別にいるか確かめる第4項。所有者等以外に特定建築物維持管理権原者があるときは、あらかじめ意見を聴かなければなりません。
  3. ③ 業務の遂行に支障がないことを確認する第2項。確認そのものが義務です。
  4. ④ 選任する確認を経てから選任します。

第4項の「あらかじめ」に注意してください。確認を済ませてから意見を聴くのではなく、意見を聴いてから確認します。条文は「第二項……の規定による確認を行う場合において、当該特定建築物について当該特定建築物所有者等以外に特定建築物維持管理権原者があるときは、あらかじめ、当該特定建築物維持管理権原者の意見を聴かなければらない。」としています。

第3項は、すでに選任している人が新たに他のビルを兼ねる場合にも第2項を準用するとしています。あとから増えるときも、そのつど確認が要ります。

意見を述べることができる

建築物衛生法第6条第2項は、管理技術者の側の権限を定めています。

「建築物環境衛生管理技術者は、当該特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に従つて行なわれるようにするため必要があると認めるときは、当該特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するものに対し、意見を述べることができる。この場合においては、当該権原を有する者は、その意見を尊重しなければならない。」

意見の扱い(法第6条第2項)

立場条文
建築物環境衛生管理技術者意見を述べることができる
維持管理について権原を有する者その意見を尊重しなければならない

出典:建築物衛生法第6条第2項。「尊重しなければならない」は法律上の義務の書き方です。

管理技術者は雇われている立場でも、意見を述べる権限が法律に書かれています。そして受け取る側には尊重義務があります。

測定や清掃の結果が基準を外れているとき、この条文が根拠になります。→ 事務所の空気環境測定は2か月に1回/大掃除は6か月以内ごとに1回

免状を持っている人とは

法第7条第1項は、免状の交付を受けられる人を2通りで定めています。

建築物環境衛生管理技術者免状(法第7条第1項)

号条文
第一号厚生労働省令で定める学歴及び実務の経験を有する者……で、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習会……の課程を修了したもの
第二号建築物環境衛生管理技術者試験に合格した者

出典:建築物衛生法第7条第1項。講習会の課程を修了する道と、試験に合格する道の2つがあります。

講習会の受講資格は施行規則第6条が定めています。たとえば第一号は「大学……において理学、医学、歯学、薬学、保健学、衛生学、工学、農学又は獣医学の正規の課程を修めて卒業した後、一年以上建築物の維持管理に関する実務に従事した経験」を有する者です。

学歴によって必要な実務年数が変わります。短期大学・高等専門学校の場合は別の号が定めています。詳しくは施行規則第6条をご確認ください。

よくある取りこぼし

会社に1人いればよいと思った

施行規則第5条第1項は「特定建築物ごとに」選任することを求めています。

兼任は禁止されていると思った

禁止する条文はありません。ただし第2項の「支障がないことの確認」が義務です。

確認をしないまま兼任させた

「確認しなければならない」。確認そのものが義務です。

あとから兼任が増えたときに確認しなかった

第3項が第2項を準用しています。新たに兼ねるときも確認が要ります。

維持管理権原者の意見を聴かなかった

第4項。所有者等以外に維持管理権原者がいるときは、あらかじめ意見を聴きます。

管理技術者が意見を言えないと思っていた

法第6条第2項「意見を述べることができる」。権原者には尊重義務があります。

管理技術者が自分で清掃や測定をすると思っていた

法第6条第1項の目的は「監督をさせるため」です。

確認に使った一次情報

2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。実施の体制・記録の残し方・保健所の運用は自治体ごとに異なります。所在地を管轄する保健所にご確認ください。

体制を決めるタイミングで、什器と配置もまとめて見直す

維持管理の体制を組み直すときは、避難経路と空気の通り道もあわせて確認してください。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。効果には個人差があります。広告(PR)を含みます。

事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド