本ページはアフィリエイト広告を利用しています。掲載情報は公的機関および各社公式サイトの公表内容にもとづきます。

窓口が消防署ではなく保健所になる制度

オフィスにかかる法令というと消防法と建築基準法が浮かびますが、もうひとつ「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(建築物衛生法)があります。延べ面積が3,000平方メートル以上の事務所は特定建築物にあたり、届出先は消防署ではなく保健所です。

本サイトは一般的な整理です。実際に必要な届出・設備・寸法は、建物の用途・規模・構造によって変わります。着工前に必ず所轄の消防署と、建物の設計を担当した建築士(または内装業者)にご確認ください。

このページの内容
  1. 対象になる用途と面積
  2. 届出は使用開始から1か月以内
  3. 空気環境の基準と測定の頻度
  4. 飲料水・清掃・ねずみの頻度
  5. 消防・建築の制度との違い
  6. よくある取りこぼし
  7. 確認に使った一次情報
  8. よくある疑問

対象になる用途と面積

江東区は対象を「興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校又は旅館の用途に供される延べ面積が3,000平方メートル以上」としています。学校や幼保連携型認定こども園は8,000平方メートル以上です。

特定建築物の面積基準(2026年9月12日確認)

用途延べ面積
事務所・店舗・興行場・百貨店・集会場・図書館・博物館・美術館・遊技場・旅館3,000平方メートル以上
学校教育法に規定する学校・幼保連携型認定こども園8,000平方メートル以上

出典:江東区・港区の公表内容。港区は「事務所等の特定用途に供される部分の延べ床面積が3000平方メートル(学校教育法に規定する学校は8000平方メートル)以上」としています。

数えるのは「特定用途に供される部分」の延べ面積です。建物全体の面積ではありません。

3,000㎡はワンフロア1,000㎡なら3フロアぶんです。1テナントで超えることは少なく、ビル全体で超えるのが普通です。つまり届け出るのは多くの場合ビルの所有者側で、入居する側は基準の維持に関わります。

届出は使用開始から1か月以内

公表されている期限

消防の届出が「工事に着手する7日前まで」と事前なのに対し、こちらは使用開始「後」1か月以内です。前後が逆なので、同じ感覚で構えていると遅れます。

→ 事務所の内装工事で消防署に出す届出(着手の7日前)

届け出なかったときの罰則

「うちは対象だったのか」と後から気づくことがあります。届出には罰則がついています。

特定建築物の届出に関する罰則(2026年9月20日確認)

何をしなかったか根拠罰則
特定建築物の届出をしなかった(新規・変更・用途廃止)建築物衛生法16条1号(5条1項〜3項違反)三十万円以下の罰金
管理技術者を選任しなかった同16条2号(6条1項違反)三十万円以下の罰金
改善命令・処分に従わなかった同16条5号(12条違反)三十万円以下の罰金

出典:建築物における衛生的環境の確保に関する法律16条(e-Gov法令検索)。柱書は「三十万円以下の罰金に処する。」です。

届出は「建てたとき」だけではありません。 用途が変わったとき、使わなくなったときにも届出が要ります。 テナントの入れ替えで面積の数え方が変わることがあるので、3,000㎡に近い建物は、入れ替えのたびに確認してください。

空気環境の基準と測定の頻度

東京都健康安全研究センターは、建築物環境衛生管理基準として次を公表しています。

空気環境の基準値(2026年9月12日確認)

項目基準
測定の頻度2か月以内に1回(新規竣工時は毎月1回)
温度18℃以上28℃以下
相対湿度40%以上70%以下
気流0.5m/秒以下
一酸化炭素6ppm以下
二酸化炭素1,000ppm以下
浮遊粉じん量0.15mg/㎥以下
ホルムアルデヒド0.1mg/㎥以下

出典:東京都健康安全研究センターの公表内容。【2026-09-13 追記】基準値そのものは建築物衛生法施行令第2条第1号イ、測定の頻度は施行規則第3条の2第3号の「二月以内ごとに一回」が根拠です。「新規竣工時は毎月1回」は自治体の指導によるもので、条文には見当たりませんでした。所在地を管轄する保健所にご確認ください。

実務でいちばん引っかかるのは二酸化炭素1,000ppm以下です。人が増えたり、間仕切りで空気の通り道を塞いだりすると上がります。

測る項目は空気調和設備か機械換気設備かで変わります。→ 事務所の空気環境測定は2か月に1回

レイアウト変更で吹き出し口や吸い込み口を家具でふさぐと、測定値が動きます。→ オフィスの間仕切り/事務所衛生基準規則(照度・温度・トイレの数)

なお、事務所衛生基準規則(労働安全衛生法)とは別の制度です。あちらは働く人のための基準で、窓口は労働基準監督署です。

飲料水・清掃・ねずみの頻度

その他の管理基準(e-Gov法令検索・2026年9月13日に条文で確認し直したもの)

項目頻度条文
飲料水の水質検査6月以内ごとに1回(一部の項目は毎年、測定期間=6月1日〜9月30日中に1回)施行規則第4条第1項第3号
遊離残留塩素の検査7日以内ごとに1回施行規則第4条第1項第7号
貯水槽の清掃1年以内ごとに1回施行規則第4条第1項第7号
大掃除6月以内ごとに1回、定期に、統一的に(日常の掃除は別に継続)施行規則第4条の5第1項
排水に関する設備の掃除6月以内ごとに1回、定期に施行規則第4条の3第1項
ねずみ等の調査6月以内ごとに1回、定期に、統一的に施行規則第4条の5第2項第1号

出典:建築物衛生法施行規則(e-Gov法令検索)。【2026-09-13 訂正】以前このページには「ねずみ等の防除(点検)原則として月に1回以上」と書いていましたが、法令上の義務は「6月以内ごとに1回」です。自治体が上乗せで、より頻繁な点検を指導している場合はあります。所在地を管轄する保健所にご確認ください。

いずれもビル全体の管理として行われるのが普通です。入居する側は、管理会社がこれらを行っているかを確認する立場になります。

それぞれの中身は別のページにまとめました。→ 空気環境測定は2か月に1回/水は7日ごとに検査する/大掃除は6か月以内ごとに1回/ねずみ等の防除は調査が先/ビル管理技術者の兼任

水まわりについては、面積とは別に水道法の線もあります。水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えると、建築物衛生法とは別に「簡易専用水道」になります。→ 貯水槽が10㎥を超えたら簡易専用水道

消防・建築の制度との違い

オフィスにかかる制度の窓口

制度根拠窓口きっかけ
特定建築物の届出建築物衛生法保健所延べ面積3,000㎡以上
防火管理者の選任消防法消防署収容人員(事務所は50人以上)
消防の届出消防法消防署内装工事・間仕切り変更
用途変更の確認申請建築基準法建築主事・指定確認検査機関200㎡超の用途変更
事務所衛生基準規則労働安全衛生法労働基準監督署人を雇うこと

本サイトの整理です。実際に必要な手続きは建物の用途・規模・構造によって変わります。

基準の数え方がそれぞれ違います。面積(3,000㎡・200㎡)、人数(50人)、工事の有無。どれで線が引かれるかを最初に押さえます。

空気の通り道をふさがない配置に、什器から見直す

ここから先は法令の話ではなく、事業者のサービスです。価格・納期は各社公式サイトの公表値をご確認ください。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。効果には個人差があります。広告(PR)を含みます。

→ 事務所のレイアウトを変える前に確認する4つの法律/防火管理者は必要か/用途変更に確認申請は要るか

よくある取りこぼし

消防署にだけ届け出ていた

特定建築物の届出先は保健所です。制度も根拠法も別です。

事前に届け出ようとした

「使用し始めたときは、1か月以内に」です。消防の届出(着手の7日前)と前後が逆です。

自社の専有面積で判断した

特定用途に供される部分の延べ面積です。ビル全体で3,000㎡を超えることが多くあります。

事務所衛生基準規則と同じものだと思った

別の制度です。あちらは労働安全衛生法で、窓口は労働基準監督署です。

間仕切りで吹き出し口をふさいだ

二酸化炭素1,000ppm以下などの基準は、空気の流れが変わると影響を受けます。

飲料水の報告書の時期を逃した

港区は「毎年12月1日から15日まで」としています。

確認に使った一次情報

いずれも2026年9月12日に確認した公表内容です。対象になるかどうかは用途と延べ面積で決まります。所轄の保健所にご確認ください。

よくある疑問

うちは1フロア800㎡のテナントです。対象ですか。

数えるのは建物の特定用途に供される部分の延べ面積です。ビル全体で3,000㎡以上なら、その建物が特定建築物にあたります。届け出るのは所有者側になるのが普通です。所轄の保健所にご確認ください。

誰が届け出ますか。

公表内容では届出先が保健所長とされています。届出の主体は所有者・占有者など建物の維持管理について権原を有する者です。実務ではビルの所有者か管理会社が行います。

測定は自分でできますか。

本サイトでは判定しません。実務では登録業者に委託するのが一般的です。

二酸化炭素が基準を超えたらどうなりますか。

公表内容には罰則の記載が見当たりませんでした。改善の指導が入ります。所轄の保健所にご確認ください。

建築物環境衛生管理技術者は要りますか。

特定建築物には選任が求められます。選任の詳細は所轄の保健所にご確認ください。

事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド