「2か月に1回」は、空調があるかどうかで中身が変わる
延べ面積3,000平方メートル以上の事務所ビルは、建築物衛生法の特定建築物です。空気環境の測定は、施行規則第3条の2第3号により「二月以内ごとに一回、定期に、測定すること。」とされています。ただし測る項目は、空気調和設備を設けているか、機械換気設備だけかで違います。
本サイトは条文と公表資料の整理です。実施の体制・記録の残し方・立入検査の運用は自治体ごとに異なります。この建物で何がどこまで必要かは、所在地を管轄する保健所(環境衛生担当)に確認してください。業者の選定は、下に書いた登録の有無から見ていくのが早いです。
誰に頼むのか(登録を受けた業者かどうか)
建築物衛生法第12条の2は、次の8つの事業について「その営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けることができる」と定めています。登録の有効期間は6年です(同条第4項)。
第12条の2第1項が挙げる8事業(条文の文言のまま)
| 号 | 条文の文言 | 通称 |
|---|---|---|
| 一 | 建築物における清掃を行う事業 | 建築物清掃業 |
| 二 | 建築物における空気環境の測定を行う事業 | 建築物空気環境測定業 |
| 三 | 建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業 | 建築物空気調和用ダクト清掃業 |
| 四 | 建築物における飲料水の水質検査を行う事業 | 建築物飲料水水質検査業 |
| 五 | 建築物の飲料水の貯水槽の清掃を行う事業 | 建築物飲料水貯水槽清掃業 |
| 六 | 建築物の排水管の清掃を行う事業 | 建築物排水管清掃業 |
| 七 | 建築物におけるねずみその他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物として厚生労働省令で定める動物の防除を行う事業 | 建築物ねずみ昆虫等防除業 |
| 八 | 建築物における清掃、空気環境の調整及び測定、給水及び排水の管理並びに飲料水の水質検査であつて、建築物における衛生的環境の総合的管理に必要な厚生労働省令で定める程度のものを行う事業 | 建築物環境衛生総合管理業 |
出典:建築物における衛生的環境の確保に関する法律 第12条の2第1項(e-Gov法令検索で2026年9月17日に確認)。
見積りを取る前に、この2つをそのまま聞いてください。
業者に先に聞く2つ
| 聞く言葉 | この答えなら要注意 |
|---|---|
| 「都道府県知事の登録を受けていますか。登録番号を教えてください」 | 「登録は不要です」とだけ答え、番号を出さない |
| 「登録の有効期限はいつまでですか」(有効期間は6年) | 期限を把握していない。更新していない |
登録業者の一覧は、都道府県や政令市の環境衛生担当課が公表しています。保健所に「登録業者の一覧はありますか」と聞けば出てきます。
測る項目と基準値
施行令第2条第1号イは、7つの項目と基準を表で定めています。
建築物環境衛生管理基準(施行令第2条第1号イ・2026年9月13日確認)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 一 浮遊粉じんの量 | 空気一立方メートルにつき〇・一五ミリグラム以下 |
| 二 一酸化炭素の含有率 | 百万分の六以下(6ppm) |
| 三 二酸化炭素の含有率 | 百万分の千以下(1,000ppm) |
| 四 温度 | 十八度以上二十八度以下/居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと |
| 五 相対湿度 | 四十パーセント以上七十パーセント以下 |
| 六 気流 | 〇・五メートル毎秒以下 |
| 七 ホルムアルデヒドの量 | 空気一立方メートルにつき〇・一ミリグラム以下 |
出典:建築物衛生法施行令第2条第1号イ。条文は「おおむね当該各号の下欄に掲げる基準に適合するように」と書いています。
いちばん引っかかりやすいのは二酸化炭素です。1,000ppmは、人が増えて換気が追いつかないと簡単に超えます。座席を詰めたあとに測って基準を外れる、というのがよくある形です。
温度の欄には数値のほかに条件が書かれています。「外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」。28度以下にすればよい、という条文ではありません。
2か月以内ごとに1回
施行規則第3条の2第3号は「次に掲げる区分に従い、それぞれ次に定める事項について、二月以内ごとに一回、定期に、測定すること。」としています。
「2か月に1回」ではなく「2月以内ごとに1回」です。前回から2か月を超えてはいけません。年6回が目安になります。
対象になるのは特定建築物です。施行令第1条は「店舗又は事務所」を含む用途の部分の延べ面積が三千平方メートル以上の建築物としています(学校等は八千平方メートル以上)。3,000平方メートルに届かない事務所ビルは、この測定義務の対象ではありません。→ 事務所が3,000㎡を超えたら保健所に届出
空調か換気かで項目が変わる
ここが見落とされやすいところです。同じ第3号が、設備の種類で測る項目を分けています。
設備の種類で測る項目が変わる(施行規則第3条の2第3号)
| 設備 | 測る項目 |
|---|---|
| イ 空気調和設備を設けている場合 | 第1号から第6号まで(浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流) |
| ロ 機械換気設備を設けている場合 | 第1号から第3号まで及び第6号(浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流) |
出典:施行規則第3条の2第3号。機械換気設備だけの場合、温度と相対湿度は測定項目から外れます。
機械換気設備だけなら、温度と相対湿度は測らなくてよいことになります。空気を浄化して流量を調節できるだけで、温度や湿度を調節する機能がないからです。
施行令第2条第1号の定義も対応しています。空気調和設備は「空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給……をすることができる設備」、機械換気設備は「空気を浄化し、その流量を調節して供給をすることができる設備」です。
自分のビルがどちらかは、設備図か管理会社に確認してください。間違えると、測る必要のない項目にお金を払うか、必要な項目を落とすかのどちらかになります。
どこで測るか
施行規則第3条の2第1号は、測る場所と高さまで定めています。
「当該特定建築物の通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上七十五センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置において、……測定器を用いて行うこと。」
条文が定めている測定の条件
- 通常の使用時間中に測る(人がいない時間に測るのではない)
- 各階ごとに測る(代表の1フロアだけでは足りない)
- 居室の中央部で測る(壁際や窓際ではない)
- 床上75cm以上150cm以下の高さ(座っている人・立っている人の呼吸域)
「通常の使用時間中」という条件は重要です。人がいない早朝や夜間に測れば二酸化炭素は低く出ますが、条文に合いません。
測定器も条文で指定されています。一酸化炭素と二酸化炭素は「検知管方式による検定器」、温度は「〇・五度目盛の温度計」、相対湿度は「〇・五度目盛の乾湿球湿度計」、気流は「〇・二メートル毎秒以上の気流を測定することができる風速計」です。(同程度以上の性能を有する測定器を含む、とされています。)
平均値で見る項目がある
施行規則第3条の2第2号は、比較のしかたを定めています。
「令第二条第一号イの表の第一号から第三号までの上欄に掲げる事項について、当該各号の下欄に掲げる数値と比較すべき数値は、一日の使用時間中の平均値とすること。」
瞬間値で見るか、平均値で見るか
| 項目 | 比較のしかた |
|---|---|
| 浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素 | 一日の使用時間中の平均値 |
| 温度・相対湿度・気流・ホルムアルデヒド | 平均値とする定めはない |
出典:施行規則第3条の2第2号。
二酸化炭素が昼どきに一時的に1,000ppmを超えても、それだけで基準を外れたことにはなりません。一日の使用時間中の平均で見ます。
逆に、温度と相対湿度には平均値の定めがありません。測った値そのもので見ることになります。
工事をしたらホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、2か月ごとの定期測定には入っていません。施行規則第3条の2第4号が別に定めています。
「特定建築物の建築……、大規模の修繕……又は大規模の模様替……を行つたときは、当該建築等を行つた階層の居室における……ホルムアルデヒドの量……について、当該建築等を完了し、その使用を開始した日以後最初に到来する測定期間(六月一日から九月三十日までの期間をいう。)中に一回、測定すること。」
工事をしたときの順番
- ① 建築・大規模の修繕・大規模の模様替に当たるか確認する建築基準法第2条第13号〜第15号の定義によります。
- ② 工事を完了し、使用を開始する起点は「使用を開始した日」です。
- ③ 次の6月1日〜9月30日の間に1回測るこの期間が「測定期間」と定義されています。
- ④ 測るのは工事をした階層の居室建物全体ではありません。「当該建築等を行つた階層」です。
測定期間が夏に限られているのは、気温が高いほどホルムアルデヒドが出やすいからです。冬に工事を終えても、測るのは次の6月以降になります。
内装工事のときは、消防のほうの手当ても要ります。→ 消防計画に書く12項目/内装制限
よくある取りこぼし
3,000㎡未満なのに測定を発注していた
特定建築物は延べ面積3,000平方メートル以上(施行令第1条)。届出の対象から確認してください。
機械換気設備だけなのに温度と湿度も測っていた
施行規則第3条の2第3号ロは、第1号〜第3号と第6号だけを挙げています。
代表の1フロアだけ測っていた
条文は「各階ごとに」です。
人のいない時間に測っていた
条文は「通常の使用時間中に」です。
壁際や窓際で測っていた
条文は「居室の中央部の床上七十五センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置」です。
二酸化炭素が一瞬でも1,000ppmを超えたら違反だと思った
第1号から第3号までは「一日の使用時間中の平均値」で比較します(第2号)。
2か月ごとの測定にホルムアルデヒドを入れていた
ホルムアルデヒドは工事をしたときだけ。6月1日〜9月30日に1回です(第4号)。
28度以下にすれば足りると思った
温度の欄には「外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」も書かれています。
確認に使った一次情報
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。測定の実施体制・報告の様式・保健所の運用は自治体ごとに異なります。所在地を管轄する保健所にご確認ください。
空気の通り道をふさがない配置に、什器から見直す
座席を詰めると二酸化炭素の濃度が上がります。配置は管理会社と設備業者にご確認ください。
- 型番・価格・納期が、その場で分かります
- 寸法を入れると、置ける物だけが残ります
- 工事を伴う場合は所轄消防署への届出が必要になることがあります
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
- 4つの法律の地図
- 消防署への届出
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- 防火管理者は要るか
- 照度・温度・トイレ
- 什器の耐用年数と経費
- 防災管理者
- 防火対象物点検
- 甲種防火管理再講習
- 統括防火管理者
- 防炎物品
- 特定建築物の届出
- 自衛消防組織
- 消防計画
- 消防訓練
- 飲料水と貯水槽の管理
- ねずみ等の防除
- 大掃除と排水設備の掃除
- 建築物環境衛生管理技術者
- 用途変更の確認申請
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- 簡易専用水道の管理基準
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- 一般廃棄物と産業廃棄物の違い
- 事業系ごみの保管
- 委託先の許可の確認
- 多量排出事業者の計画
- 分別と協力義務
- 騒音規制法の特定施設
- 特定施設の設置届
- 数・防止方法の変更届
- 氏名変更・廃止の届出
- 承継の届出
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。