防火管理者とは別の制度。ただし兼任が前提
防火管理者は火災に備える制度、防災管理者は地震などの火災以外の災害に備える制度です。別の制度ですが、大阪市は「なお、防災管理者は、防火管理者と同じ人でないといけません。」としています。片方だけ選任する、という形にはなりません。
本サイトは一般的な整理です。実際に必要な届出・設備・寸法は、建物の用途・規模・構造によって変わります。着工前に必ず所轄の消防署と、建物の設計を担当した建築士(または内装業者)にご確認ください。
必要になる3つの規模
防災管理者の選任が必要な建物(大阪市の公表内容・2026年9月12日確認)
| 階数 | 延べ面積 |
|---|---|
| 地上11階以上 | 1万平方メートル以上 |
| 地上5〜10階 | 2万平方メートル以上 |
| 地上4階以下 | 5万平方メートル以上 |
出典:大阪市の公表内容。用途・構造により扱いが変わります。所轄の消防署にご確認ください。
階数が低いほど、必要な延べ面積が大きくなります。4階以下なら5万㎡。これは相当に大きな建物です。
ふつうのテナントオフィスで、自社が直接この義務を負うことはほとんどありません。義務を負うのは建物全体の管理権原者です。ただし入居しているビルがこの規模なら、建物全体の防災管理に協力を求められます。
防火管理者のほうは規模の基準がまったく違います。→ 事務所に防火管理者は必要か
防火管理者との違い
2つの制度の並べ方
| 防火管理者 | 防災管理者 | |
|---|---|---|
| 備える対象 | 火災 | 地震などの火災以外の災害 |
| 基準の見方 | 収容人員(事務所なら50人以上) | 階数と延べ面積(11階1万㎡/5〜10階2万㎡/4階以下5万㎡) |
| 兼任 | — | 「防災管理者は、防火管理者と同じ人でないといけません」(大阪市) |
| 再講習の修了証 | 甲種防火管理再講習修了証 | 「防災管理再講習を受講すると、甲種防火管理再講習修了証及び防災管理再講習の修了証が交付されます」(東京消防庁) |
出典:大阪市・東京消防庁の公表内容(2026年9月12日確認)。
東京消防庁の記載から読み取れるのは、防災管理再講習を受ければ甲種防火管理再講習も同時に済むということです。順番を間違えると、同じ講習を二度受けることになります。
1年に1回の点検報告
大阪市は「1年に1回、建物の防災管理の状況について、防災管理点検資格者に点検させ、その結果を消防機関へ報告させることを義務付けています。」としています。
読み取れること
- 頻度は1年に1回
- 点検するのは「防災管理点検資格者」。社内の誰でもよいわけではない
- 報告先は消防機関
- 点検と報告はセット。点検だけして出さないのは義務を果たしたことにならない
火災のほうの点検報告(防火対象物点検)は別の制度です。→ 防火対象物点検の対象
消防用設備等の点検はさらに別です。→ 事務所の消防設備点検は誰がやるか
再講習の扱い
東京消防庁は防災管理再講習の対象を「防災管理新規講習修了者で、防災管理者に選任されている方に限ります」としています。
防火管理者の再講習が「収容人員300人以上の特定用途」に限られるのに対し、防災管理のほうは選任されていれば対象です。ここが読み違えやすいところです。
建物の規模が変わるタイミングで、什器と配置も見直す
ここから先は法令の話ではなく、事業者のサービスです。価格・納期は各社公式サイトの公表値をご確認ください。
- 型番・価格・納期が、その場で分かります
- 寸法を入れると、置ける物だけが残ります
- 工事を伴う場合は所轄消防署への届出が必要になることがあります
よくある取りこぼし
防火管理者を選任したので防災管理者も済んだと思った
別の制度です。規模の基準も違います(階数と延べ面積で見ます)。
防火管理者と別の人を防災管理者にした
大阪市は「防災管理者は、防火管理者と同じ人でないといけません」としています。
甲種防火管理再講習と防災管理再講習を別々に受けた
防災管理再講習を受けると甲種防火管理再講習修了証も交付されます(東京消防庁)。順番で無駄が出ます。
点検だけして報告を出さなかった
「点検させ、その結果を消防機関へ報告させる」までが義務です。
テナントなので関係ないと決めつけた
義務を負うのは建物全体の管理権原者ですが、入居者として協力を求められます。
確認に使った一次情報
- 東京消防庁「防火対象物定期点検報告制度の概要(消防法第8条の2の2)」東京消防庁
- 日本消防設備安全センター「防火対象物定期点検報告(消防法第8条の2の2)」日本消防設備安全センター
- 大阪市「防火・防災管理制度について」大阪市
- 東京消防庁「防火・防災管理講習 よくある質問コーナー」東京消防庁
- さいたま市「甲種防火管理再講習制度について」さいたま市
- 東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」東京消防庁
いずれも2026年9月12日に確認した公表内容です。用途・規模・構造により扱いが変わります。所轄の消防署にご確認ください。
よくある疑問
うちのビルは10階建て・延べ面積1万5千㎡です。対象ですか。
防災管理者になるには何が要りますか。
テナント単位で防災管理者を置きますか。
防火管理者だけでよい建物はありますか。
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
- 4つの法律の地図
- 消防署への届出
- 間仕切りの選び方
- 防火管理者は要るか
- 照度・温度・トイレ
- 什器の耐用年数と経費
- 防火対象物点検
- 甲種防火管理再講習
- 統括防火管理者
- 防炎物品
- 特定建築物の届出
- 自衛消防組織
- 消防計画
- 消防訓練
- 空気環境測定
- 飲料水と貯水槽の管理
- ねずみ等の防除
- 大掃除と排水設備の掃除
- 建築物環境衛生管理技術者
- 用途変更の確認申請
- 通路幅と収容人員
- 消防設備の点検と報告
- 内装制限と防火設備
- 事務所の喫煙室は何をすれば足りるか
- 簡易専用水道とは
- 簡易専用水道の管理基準
- 簡易専用水道の検査
- 貯水槽の清掃の頻度
- 事業系一般廃棄物の基本
- 一般廃棄物と産業廃棄物の違い
- 事業系ごみの保管
- 委託先の許可の確認
- 多量排出事業者の計画
- 分別と協力義務
- 騒音規制法の特定施設
- 特定施設の設置届
- 数・防止方法の変更届
- 氏名変更・廃止の届出
- 承継の届出
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。