天井に届くかどうかで、別の工事になる
「会議室を作りたい」という同じ目的でも、天井まで壁を立てるか、立てないかで、必要な手続きも費用の桁も変わります。先に決めるべきはここです。
3つの立て方
間仕切りの3つの立て方
| 立て方 | どういうものか | 建物への影響 |
|---|---|---|
| 置き型(ローパーテーション) | 床に置く。移動できる | 建物に固定しない。原状回復も不要 |
| 固定・天井に達しない | 床や壁に固定するが、上部が空いている | 固定部分の補修が要る。天井面には触らない |
| 天井まで(ハイパーテーション・造作壁) | 天井面まで達する壁を立てる | 空間が分割される。空調・排煙・照明・警報の前提が変わる |
「会議室らしさ」は3つ目がいちばん高いですが、手続きと費用も3つ目がいちばん重くなります。
届出はどう変わるか
東京消防庁は、防火対象物工事等計画届出書について次のように案内しています。
天井に達しない間仕切り壁(ローパーテーション等)の設置する場合は届出の必要はない
東京消防庁「防火対象物の工事等計画の届け出をしよう」
裏を返すと、天井まで達する間仕切りは「模様替え」にあたり、着手する日の7日前までの届出の対象になり得ます。詳しくは届出のページをご覧ください。
なお、喫煙室を作る場合は逆になります。厚生労働省の技術的基準は「壁、天井等によって区画されていること」を求めるため、天井に達しない間仕切りでは基準を満たしません。喫煙室のページで扱います。
→ 図は横にスクロールできます
- 置くだけ床に置くローパーテーション
- 天井に達しない固定床・壁に固定。上部は開いている
- 天井まで立てる模様替えにあたる
- 設備の移設を伴うスプリンクラー・感知器・排煙口に触る
どこに当たるかは建物と工事内容で決まります。判断は所轄消防署と施工者に確認してください。
建物の設備との関係
これが最も見落とされるところです。建物の消防用設備と空調は、いまの空間の形を前提に設計されています。天井まで壁を立てると、その前提が崩れます。
天井まで立てるときに、影響を受けうるもの
- スプリンクラーヘッド(新しくできた部屋に届かなくなることがある)
- 自動火災報知設備の感知器(同じく、区画された部屋に感知器がない状態になりうる)
- 排煙設備(排煙口のない部屋ができてしまうことがある)
- 誘導灯(避難経路の見え方が変わる)
- 空調の吹き出し口と還り(片方の部屋にしか無い状態になる)
- 照明(照度が足りなくなる。事務作業には基準があります)
これらはすべて建物側の設備で、テナントが勝手に動かせるものではありません。移設や増設が必要になると、費用も工期も大きく変わります。
だから「天井まで立てたい」と思ったら、まず建物の管理会社と施工者に図面を見てもらってください。本サイトの一般論では判断できません。
本サイトは一般的な整理です。実際に必要な届出・設備・寸法は、建物の用途・規模・構造によって変わります。着工前に必ず所轄の消防署と、建物の設計を担当した建築士(または内装業者)にご確認ください。
どう選ぶか
目的別の選び方
視線を遮りたい・作業に集中したい
オンライン会議の声を少し抑えたい
機密性の高い打ち合わせをする
将来またレイアウトを変えるかもしれない
賃貸で、退去時の原状回復を軽くしたい
多くの場合、目的は「視線と音を少し切る」ことで、天井まで立てる必要はありません。まず置き型で試して、足りなければ次を考える、という順序が費用を抑えます。
置き型・固定型のパーテーションと什器を見る
高さ・仕様・納期は製品により異なります。建物の条件は所轄消防署と施工者にご確認ください。
- 型番・価格・納期が、その場で分かります
- 寸法を入れると、置ける物だけが残ります
- 工事を伴う場合は所轄消防署への届出が必要になることがあります
施工者に確認すること
見積もりを取る前に伝える・聞く
- 天井まで立てるのか、達しない高さにするのかの希望
- その工事で消防署への届出が要るか(要るなら誰が出すか)
- スプリンクラー・感知器・排煙口・空調に影響が出るか
- 影響が出る場合、移設や増設の費用は見積もりに含まれているか
- 建物の管理会社の承認が要るか、取得は誰が行うか
- 退去時に解体・復旧が必要か、その費用の目安
とくに「設備への影響」と「退去時の解体」は、初回の見積もりに入っていないことがあります。先に聞いてください。
よくある失敗
見た目だけで天井まで立てることに決める
設備の移設が必要になり、費用が跳ね上がることがあります。
スプリンクラーの位置を見ずに区画を決める
新しい部屋にヘッドが無い状態になり、設計のやり直しになります。
空調の吹き出し口を片方に寄せてしまう
一方の部屋が暑い・寒いという状態が固定されます。
照明を考えずに壁を立てる
事務作業には照度の基準があります(一般的な事務作業は300ルクス以上)。
退去時の解体費を見積もらない
賃貸では原状回復の対象になります。
よくある疑問
天井に達しない間仕切りなら、本当に何の手続きも要りませんか。
どのくらいの高さなら「天井に達しない」ことになりますか。
上部だけ開けて、ほとんど天井近くまで立てるのはどうですか。
ガラスの間仕切りは扱いが違いますか。
パーテーションは経費にできますか。
既存の造作壁を撤去するときも届出が要りますか。
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
- 4つの法律の地図
- 消防署への届出
- 防火管理者は要るか
- 照度・温度・トイレ
- 什器の耐用年数と経費
- 防災管理者
- 防火対象物点検
- 甲種防火管理再講習
- 統括防火管理者
- 防炎物品
- 特定建築物の届出
- 自衛消防組織
- 消防計画
- 消防訓練
- 空気環境測定
- 飲料水と貯水槽の管理
- ねずみ等の防除
- 大掃除と排水設備の掃除
- 建築物環境衛生管理技術者
- 用途変更の確認申請
- 通路幅と収容人員
- 消防設備の点検と報告
- 内装制限と防火設備
- 事務所の喫煙室は何をすれば足りるか
- 簡易専用水道とは
- 簡易専用水道の管理基準
- 簡易専用水道の検査
- 貯水槽の清掃の頻度
- 事業系一般廃棄物の基本
- 一般廃棄物と産業廃棄物の違い
- 事業系ごみの保管
- 委託先の許可の確認
- 多量排出事業者の計画
- 分別と協力義務
- 騒音規制法の特定施設
- 特定施設の設置届
- 数・防止方法の変更届
- 氏名変更・廃止の届出
- 承継の届出
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。